Re-Mix14 [Hasami]
更新日:9月26日
Category: Renovation
Architect: Murayama
Date: 2025
Location: Nagasaki city, NAGASAKI
生き方=暮らし方だと定義するならば、
暮らしを支える住まいほど饒舌に
その主を物語るものはありません。
なにを大切にしたいのか、どう過ごしたいのか。
選んだものだけでなく、選ばなかったものにも意味がある。
住まいには正解がない、だからこそおもしろい。
家の歴史に、家族のいまを重ねてゆく。
父親が大切にしてきた店を引き継ぎ、姉妹でコーヒーショップを営むYさん。お客さんに豊かな時間と場を提供し、幸せな気持ちに満たされて帰ってもらいたい。そんな思いの一方で、自分たちの暮らしをおろそかにしては本末転倒。だからこそ、今回のリノベーションには並々ならぬ思いがありました。手を入れたのは、こちらも祖父母や両親が長らく住み継いできた100坪クラスの家。広い敷地内に両親たちが暮らす母屋があり、Yさん一家はその隣にある小屋を改装した家で暮らしていました。「どちらの建物も、増築したりリフォームしたりと、ちょこちょこと手を入れてはいたんです。でも暑さ寒さは何度やっても解消されないまま。見た目だけきれいになってもダメなんだと思い知りました」。そう話す奥さまが、いまでは笑い話となっているエピソードを教えてくれました。「このへん、冬とかは気温がマイナスになる日もあるんです。家の中なのに白い息はきよったもんね」とご主人に共感を求めると、「おはよう(白息)ってね」と苦笑い。
こうしたリアルな経験から導き出されたのは、温熱環境をビシッとととのえること。そのために2人でかなり勉強もしたといいます。「断熱に力を入れているところがないか」。自分たちで調べたり、知人にたずねたりしながらたどりついた答えがムラヤマだったというワケです。お願いする工務店は決まった。次の悩みは「新築にするかリノベーションするか。リノベーションの場合はどこをどうする?」ということ。みんなが納得できるプランに至るまでには、さまざまな紆余曲折がありました。さまざまな可能性や選択肢のなかから最終的にしぼりこんだのが次の2択。
プラン①:自分たちが住んでいた小屋を取り壊して新しく一軒家を建てる
プラン②:母屋をリノベーションして2世帯にする。
「プラン①にした場合、親がいなくなったら、母屋はどうする?のちのちお金かかることになるよね」とか、いろんな問題が頭の中でぐるぐる。2人が望んでいるのは、古いものをただ新しくすることでも、流行のデザインを取り入れることでもありません。いまの住み手に合わせた性能の向上と、暮らしを再構築することに比重を置こうと。
なにをやるかではなく、この先のことをどう考えるか。その結果、2階建ての母屋を減築して、平屋にリノベーションするプランを採用。その根底にあるのは、「両親と一緒に住んで、みんなの暮らしをまとめてよくした方がいいよね」という思い。2階の屋根をなくし、新しい屋根をどうかけていくか。家を解いてみないとわからない問題をその都度クリアにしていきながら、さらに住みながらのリノベーションだったため想定より時間はかかったものの、みんながハッピーになれる決断ができたと胸をなでおろします。「もしプラン①を選んでいたら自分たちの将来はよくても、両親にはなんの喜びも与えられないもんね」。完成したときの感動はもしかすると新築以上なのかもしれません。
この家を象徴するダイナミックなLDKの広さもさることながら、圧巻なのはYさんご夫婦の住みこなし方。好きなものや理屈抜きで直感的にひかれるものがある空間は、それだけで心地がいいもの。スチールパイプを曲げてデザインされたマルセル・ブロイヤーのチェア、細い金属のアームとしなやかなシェードが空間に美しい線と陰影を生み出すセルジオ・ムーユの照明、シンプルながら独創的なデザインのヴィトラのソファ。長きにわたって愛され続ける名作とよばれる家具たちが、気持ちよさそうにひなたぼっこしています。以前から家に人を招くのが好きだった2人。誕生日会をはじめ、とにかくイベントごとが多い。そのたびに「この椅子、座り心地いいね」「キッチンすごいね」など、ゲストからほめられることが増えたといいます。それはきっと、名作家具の力だけではないはず。記憶とか価値とか愛着とか。目には見えないけれど確かにそこにあるものが、過去と現在が同居するY邸と共鳴しているのを無意識のうちに感じ取っているからに違いありません。
ソファにゆったりと腰かけて、コーヒーを飲みながら本を読みたいとか。あるいは炊きたてのごはんを家族に食べさせてあげたいとか。今回のリノベーションで変わったのは、お家時間を心から楽しめるようになったこと。「外食が少なくなったよね」とご主人が話せば、「もともと料理は好きだけど、前の家ではあんまりしたくなくて。もうキレながらつくるみたいなね。いまはもう、家で満足」とテンポよく会話が進みます。料理だけでなく、家事にかかる時間も体感的には1時間以上違うとも。「ガス式乾燥機と食洗器のおかげで、かなりラクになりました。もう、絶対壊れんで~と思うくらい」。少しでもきれいな状態をキープできるよう、掃除ぐせもつきました。
リノベーションを終えて1年と少し。お家で過ごす時間をもっと楽しくするため、遊べる庭計画を進行中。「リビングから外に出られるようにデッキをつくって人工芝をはって。子どもたちがサッカーをしたり、家族や友だちとBBQをしたりできるように」と。こうした選択が未来をつくっていくのです。
家や部屋には、そこに暮らす人の日々の時間と記憶が刻まれていくもの。毎日ふれるもの、見えるものが家族とともに育っていき、いつしか風景の一部になっていきます。広いリビングでサッカーボールを蹴る子ども、キッチンから漂うおいしそうな香り、家族や友人たちの笑い声。こうした、なにげないけれどドラマチックな日々のワンシーンを、無意識のうちに記憶にインプットしながら。









































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![LumiNest [Isahaya]](https://static.wixstatic.com/media/0a72c9_b54431de58074a09b3a2843fbafe6abf~mv2.jpg/v1/fill/w_980,h_735,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/0a72c9_b54431de58074a09b3a2843fbafe6abf~mv2.jpg)
![Ace of Base [Isahaya]](https://static.wixstatic.com/media/0a72c9_def3685f99ba4792868929b3715363ab~mv2.jpg/v1/fill/w_980,h_735,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/0a72c9_def3685f99ba4792868929b3715363ab~mv2.jpg)
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