top of page

Re-Mix15 [Nagasaki]

11 分前
読了時間: 5分

Category: Mansion Renovation

Architect: Murayama

Date: 2026

Location: Nagasaki city, NAGASAKI



人生の折り返しの年代。この先、不安がないわけじゃない。

だけど大切にしたのは暮らしの優先順位を再構築し、

「ない」ではなく「ある」に目を向けること。

祖母が残してくれた家がある、守りたい存在がある、

こう暮らしたいという理想やビジョンがある。

どこにフォーカスするかが、自分の人生を生きる覚悟に!


 

らしく生きるための勇気ある決断。

 


家の中を自由に歩き回り、家族の後ろについてくる愛犬ハチ。ともに暮らすNさんご夫婦は、「家族それぞれが自由に、心地よく過ごすために、ワンルームがいちばん快適な間取り」と口をそろえます。ステンレスのキッチンワークトップで生地をこね、パンを焼く奥さま。一方でご主人は自分の部屋の延長線のような土間で趣味の時間を楽しむ。空間を見渡せるワンルームは、そのときどきで大事にしている時間がお互いに違っていても、家族がつながりながら、無理なくおしゃべりを楽しめるよさがあります。

 この家はご主人の祖母が50年以上住んでいた一軒家をリノベーションした空間。「細かく壁で仕切られていて部屋に光があまり届かず。部屋数はそれなりに多かったけれど、物置になっていた部屋もあって。少しずつ手は入れていたものの、このまま住み続けるには、大きなテコ入れが必要だなと感じていました」と当時を振り返ります。そこで既存の壁や天井を取り払ってオープンな一室空間をつくり、その奥に個室や水まわりをレイアウトする間取りに変更することに。とはいえ、リノベーションへの道のりは平坦ではありませんでした。

当初は新築を計画していたNさんご夫婦。それはご主人が50歳を目前にしてのこと。「ローンのこともあるし、いま動かないとこの先、家を建てるのは難しくなってくるかも」。そこで自分たちのライフスタイルとマッチしそうな、県内の工務店をいくつかピックアップ。そのなかで出合ったのがムラヤマでした。「友だちの友だちがムラヤマさんで家を建てていて。話を聞きに行ってみようと出かけたら、最初からトークが熱くて。それはもう、松岡修造ばりに。何歳までローンが組めるかすぐに調べてくれたり、こちらの趣味の話にも乗ってくれて。ここならイメージを伝えやすいんじゃないかと。帰り道には“ここかもね”って妻と2人で話してました」。


ところが、建て替えを想定して見積もりを出してもらうと、思っていたより金額が高かったこともあり振り出しに。そこでムラヤマから提案されたのがリノベーションという選択肢。「言葉としては知っていましたが、壁を取り壊したりして大きく間取りを変更することとかはできないと思っていたんです」。もとの家の状態にもよりますが、リノベーションならある程度コストも抑えられる。そこでハウスインスペクションを行うことに。これは住宅の劣化状況や欠陥などを調査するもので、いわば人間ドックのようなもの。屋根の一部に雨漏りがあったものの、基礎は生かせることが判明。そこで総額を抑えつつ、新築と変わりない性能をかなえるリノベーションにシフトチェンジしました。

新築であればシミュレーションを重ね、計画を形にするところが、リノベーションはそう簡単にはいきません。そこで大事なのが図面だけではわからない「家を読み解くこと」。そのときに得た気づきを形にし、予想外のことが起これば、その場で判断を変えてアップデートを続けていく。その連続です。「正直、価値があるほど古い家とは言えない住宅ですが、子どもの頃から遊びに来ていた思い入れのある場所。キッチンの柱をどうするか最後の最後まで悩みました。ムラヤマさんからは取りましょうと提案されたけれど、たとえ柱1本でも前の家の記憶を引き継げたことはいい選択だったと思います」とご主人。さらに「私たちの思いを受け止めてくれながらも、プロならではの視点でこの家を見つめ、よりよい方向へと導いてくれる。細部へのこだわりや仕事ぶりは見ていて楽しかった」と。


「リノベーションでこの値段!?というのは正直ありましたが、住んでみて思うのは妥協しなくてよかった」ということ。その象徴的な空間が玄関を開けてすぐに広がる土間。クライミングや釣り、サーフィンなどアウトドアに精通するご主人の趣味の道具が、まるでショップのようにディスプレーされています。「家に友だちを招くと必ず驚かれます。その反応がまたうれしくて。買い物してすぐキッチンに荷物を運べるところも気に入っています」と奥さまも続きます。2人の思いを反映するだけにとどまらず、住宅のプロフェッショナルとしてのひねりも忘れずに。玄関の土間部分の天井をあらわしにすることで、リビングと高低差をつけてメリハリを。ほんのちょっとの差かもしれませんが、細部にまでムラヤマイズムを宿すこと。このひとさじがN邸ならではの個性につながっています。

 

デザイン面もさることながら、ムラヤマがなによりも大事にしているのは家の性能を高めること。全館空調はあきらめたものの、外張り断熱のおかげでストレスなく暮らせていると言います。「以前の家は断熱なし。冬は家の中でも吐く息が白くて。だから雨戸を閉めて寝ていたくらい。いまは朝起きるのが苦痛じゃなくなりました。オープンな造りになったけれど、夏もリビングのエアコン1台で快適に過ごせます」。さらに家の前に車をとめられる快適さを実感。というのも、傾斜地が多く土地が限られている長崎市あるあるですが、近くに駐車場を借りなければいけなかったから。「サーフィンやキャンプに出かけるとき、家の前に車を横づけして、道路をふさいで荷物をのせなきゃで。これが地味にストレス。駐車スペースは2台あれば十分だったけど、玄関へ続く階段の向きを変えたことで3台止められるように」。おかげで気軽に家に友だちを招くこともできます。

 

じつはNさんご夫婦は小学校からの同級生。人生の大半を一緒に過ごしています。「リノベーションを通じて、人生を楽しむことにフォーカスできるようになったのは大きな収穫。庭のドライガーデンも自分たちでつくりました。ゆくゆくは土間にソファを置いてみたり、趣味のバイクを飾ったりしてみたい。そんな未来につながる夢もできました」と穏やかに視線を交わします。そんな2人の足元には気持ちよさそうに寝そべる愛犬の姿。そんななにげない日常がとても絵になります。






コメント


bottom of page